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Jun 28, 2023 | 住まいの知識
高気密高断熱住宅の性能ってどうやって測る?数値を解説!
高気密高断熱住宅とは?基準値やQ値・C値・Ua値などの数値について徹底解説!
住宅内の隙間を減らして断熱性を高めることで夏は涼しく、冬は暖かい快適な環境を提供してくれる住宅が高気密高断熱住宅です。
高気密高断熱住宅は優れた機能を有している高性能な住宅ですが、細かい基準や数値があるのをご存じの方は少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では高気密高断熱住宅について解説を行い、基準値や、Q値・C値・Ua値などの細かな数値を紹介していきます。
高気密高断熱とは?
住宅と外部との隙間が少なく、気密性が高い状態のことを「高気密」といいます。また、住宅内の構造部に外気からの影響を受けにくい建材を使用することで、熱の外部への放出を遮断して宅内の温度を一定に保つことを「高断熱」といいます。
洋服に例えるならば、ダウンジャケットやウインドブレーカーなどの風を通しにくい洋服を着た状態が「高気密な状態」といえます。
高気密と高断熱の違い
高気密:隙間が少ない住宅のこと
高断熱:温度変化の少ない住宅のとこ
高気密高断熱の基準
近年は多くの住宅メーカーが高気密高断熱という言葉を用いていますが、明確な高気密高断熱の基準値は存在せず、各社独自の基準を設けています。
一般的に気密性はC値、断熱性はUa値という数値を用いて基準を表しているのです。そしてC値、Ua値の両方とも数値が低いほど気密性・断熱性に優れた住宅として認識されます。
日本の基準
気密性に関する日本国内の基準(C値)は、計算床面積1㎡につきどの程度隙間があるかを「㎠/㎡」という単位で表します。
このC値が小さいほど気密性が高い住宅として認識されていました。以前日本では基準値5㎠/㎡以下の住宅が高気密住宅として認定されていたのです。現在の基準では1.0㎠/㎡以下の住宅は高気密と言われています。
また、断熱性能を表すUa値も少ないほど断熱性能が高い住宅として認識され、例として東京都の基準値は0.87程度で諸外国と比較して断熱性能は低い傾向にあります。
世界の基準
世界の気密性の基準も日本同様にC値で表され、同様の計算方法である「㎠/㎡」という単位で表されています。C値の代表的な例を挙げてみると、カナダでは0.9㎠/㎡、スウェーデンでは0.6~0.7㎠/㎡以下が基準値とされており、日本よりも気密性に優れていることが伺えます。
また断熱性能を表すUa値についても、C値と同じく断熱性能に優れていることになります。例を挙げてみるとアメリカは0.43、フランスは0.36、イギリスは0.42、ドイツは0.40で、諸外国とも日本よりも断熱性に優れた住宅を建築しているのです。
高気密高断熱の数値
高気密高断熱の性能を表す指標としてQ値・C値・Ua値などが挙げられますが、それぞれがどのような特徴を持っているのでしょうか。ここからは高気密高断熱の分かりやすい数値であるQ値・C値・Ua値について詳しく解説をしていきます。
Q値
英語で「量」を表す「quantity」に由来し、建物の中の温度が外側に逃げていく量を数値化しているのが「Q値」です。一般的にQ値が高いほど室内の温度が外側に逃げていることになり、数値が低ければ住宅の断熱性能が高いことが伺えます。
Q値は住宅内の熱量を延べ床面積で割って算出されるので、延べ床面積を大きくすることでQ値が低くなって高性能の評価を得ることが可能です。
さらに天井裏に断熱材を使用したり、屋根の裏側に断熱材を貼ることで住宅内の熱量の流出を防いでQ値を高めることができます。Q値は断熱性を表す代表的な指標として2013年まで活用されていましたが、その後の省エネ基準の改正に伴って現在ではUa値が断熱性を表す代表的な指標と認定されたのです。
C値
住宅内の隙間面積を気密性の数値で表しているのが「C値」です。
C値は住宅全体の隙間の合計面積を延べ床面積で割ることで算出され、1㎡当たりの隙間面積を算出しています。
算出方法から考慮して、C値が高いほど隙間が多く、C値が少ないほど隙間が少ない気密性の高い住宅と認識されるのです。気密性を向上させ、C値を高めるためにサッシに窓枠との密着性を高めることができる「樹脂サッシ」を使用するのもおすすめの方法といえます。
C値は高気密であることを表す代表的な数値なので、住宅会社を比較・検討する際には最も低いC値を提唱している会社を選ぶのがおすすめです。
Ua値
「外皮平均熱貫流率」とも呼ばれ、Q値同様に住宅の断熱性能を数値化したのが「Ua値」です。Ua値はどの程度の熱量が室外に逃げていくかを表している数値で、住宅各部の熱損失量を延べ外皮面積で割ることで算出されます。
Ua値は延べ床面積を数値の指標としているQ値に対し、直接的に住宅内の熱量を外に逃がす部分である延べ外皮面積を数値の指標にしているので、より正確な数値化が可能です。
また、計算式から数値について考察すれば、Q値同様に数値が高ければ断熱性能が低く、数値が低ければ断熱性能に優れているといえます。
Ua値を高めて断熱性能を高めていくためには、Q値同様に住宅の屋根部に断熱材を使用したり、住宅内の熱量を逃がさず換気できる換気設備を熱交換器型に変更するのもおすすめです。
まとめ
日本には気温や天候が季節ごとに異なる「四季」が特徴的な国で熱い夏や寒い冬など、1年を通してかなりの温度差が生じていきます。
このような気候条件でも、高気密高断熱住宅に住むことで常に快適な生活が実現されるのです。しかし、高気密高断熱住宅を建てる際の基準値は住宅メーカーによって異なるので、快適な住宅を建てるためにもメーカーが提唱している数値を比較検討しなければいけません。
そこで快適な高気密高断熱住宅を建てる際には本記事を参考にして、最適な住宅メーカーを選択してください。