Column
Jul 30, 2023 |
気密性とは?気密性の意味と数値について徹底的に解説
気密性、断熱性能にこだわった家づくりに必要なC値とは?
家づくりの基本的な性能として高断熱、高気密住宅が注目されています。マイホームを検討する方にとって、耳にする機会は多い言葉ではないでしょうか。しかしどのような住宅が高断熱、高気密住宅なのかについて具体的にイメージすることは難しい部分もありますよね。実は高気密・高気密など快適に暮らすの基準は具体的な数値として示されているんです。今回はその一つであり、気密性を表す「C値」について詳しく解説します。
C値について
住宅の住み心地を測る上で、熱をさえぎる断熱性と並び重要とされるのが気密性です。住宅において不要な隙間が少なければ、外気の影響を受けにくく、室内の温度が一定に保たれる利点をもたらします。隙間が少なく、高気密な住宅であるかどうかはC値の数値で判断することができるのです。
C値とは?
C値とは、気密性能を示す数値のことで、隙間相当面積で表されます。住宅全体のすき間面積<㎠平方センチメートル>÷延床面積(すべての階の床面積の合計)<㎡平方メートル>で算出します。C値により、家全体の面積に対し、隙間が占める面積はどのくらいかがわかります。測定する際には、専門の気密測定試験機を用います。
C値は低い方が隙間が少ない家
C値の数値が低い家は、隙間が少ない家です。すき間が少ない=密閉性が高いという意味であり、より高気密な住宅と言い換えられます。C値は図面の段階では明確にできないため、できた建物で測定します。建物がすべて完成する前、施工途中に測定する場合がほとんどです。
C値は劣化する?
住宅の劣化と共に、 C値も劣化してしまうのが一般的です。新築時から時間を経て、玄関や窓周りのサッシ、配管周りのコーキング剤などさまざまな部分に傷みや劣化が生じます。構造材である木の収縮なども考えられるでしょう。そのため、新築時よりすき間が大きくなってしまうことが予測できます。住宅の経年劣化がC値にも影響を及ぼしてしまう点に留意が必要です。
C値の低い住宅にするメリット
C値の低い住宅とは、すき間が少なく気密性の高い住宅です。低いC値を維持した住宅で暮らすメリットを5つ挙げてご紹介します。
断熱性が高まる
高性能な断熱材を用いても、すき間が多ければ外気が侵入してしまいます。断熱性能を生かすためにも、気密性にも配慮が必要です。C値の低い住宅ではすき間が少なく、断熱材が最大限に効果を発揮することが可能です。
砂埃や花粉が侵入しない
すき間が少なく、気密性の高い住宅は外気の侵入を軽減できます。そのため砂埃や花粉が入ってきにくくなり、快適に過ごすことが可能です。C値の低い家は、アレルギー、花粉症に悩む方や小さなお子さんを持つご家庭にとっても安心できる環境と言えるでしょう。
結露の発生を防ぐ
結露発生にはさまざまな要因がありますが、その一つが温度差です。屋内外の気温差を少なくし、室内の温度を一定にしておく必要があります。C値の低い住宅では、外気の影響を受けにくく、室内温度を一定」にたもつことが可能です。壁の内部の結露の発生を予防し、カビなどを防ぐ効果もあります。
効果的な換気能力
※冷暖房の効率をアップできる
C値が低い住宅では、室温を一定に保つことができます。夏は涼しく、冬は暖かい状態を一定時間維持できるため、効率よく冷暖房を活用できます。少ないエネルギーで快適な室温にできるため、光熱費削減や省エネルギーの面でもメリットが得られます。
換気効率を良くする
C値が低く無駄なすき間がないことで、換気システムの効率アップも期待できます。2003年の建築基準法改正により、住宅には24時間換気システムの導入が義務づけられました。24時間換気システムとは、窓を開けることなく室内の空気を自動で入れ替える仕組みです。住宅が高気密化する中、換気が不十分になり化学物質やダニ・ほこりなどが原因となるシックハウス症候群に悩む人が増えていきます。空気をこもらせず、健康被害を防ぐ目的でシステムの導入が義務となったのです。しかしすき間が多いと、せっかくの換気システムも上手に活用できません。
C値の基準
気密性を示すC値の数値は、低いほど高気密であるとお伝えしました。とはいえ、法律などによる明確な基準は定めれられていないのが現状です。2009年の省エネ法改正前には、北海道と東北の一部寒冷地域で2.0、その他の地域では5.0という形でC値基準値が示されていました。ここからはC値の数値によるすき間のイメージ、気密性の違いについて具体的に説明していきます。
C値5.0未満
以前、寒冷値以外のエリアで基準とされてきたC値となります。C値5㎠/㎡として示されます。
すべてのすき間を合計するとB5用紙分、はがき約3.3枚分となります。海外のC値の基準を例に取ると、カナダでは0.9、スウェーデンでは0.6~0.7以下となっています。つまりC値5.0はそれほど気密性が高いとはいえないことがわかります。従来の一般的な日本家屋より、ややすき間が少ない状態だと言えるでしょう。
C値2.0未満
かつて、寒冷値での基準となっていたのがC値2㎠/㎡です。おおよそはがき1.3枚相当分の隙間に該当します。最低限の基準と言えますが、海外と比較するとまだまだ気密性に課題を残した状態です。
C値1.0未満
C値1㎠/㎡未満は、はがき0.6枚相当分の隙間となります。気密性の高い状態で、断熱性を維持できるC値と言えるでしょう。
C値0.5未満
海外と同レベルの気密性を有している状態です。気密性に優れ、室温を一定に保つことが可能な数値でです。花粉や黄砂などの侵入も防ぎます。
C値の高い住宅を建てる方法
C値が低ければ低いほど、高気密な住宅であることがわかりました。また気密性の高い家は、住み心地や省エネルギーなど多くのメリットをもたらします。利点の多いC値の低い住宅を建てるには、どのような方法があるのでしょうか。
君津測定を行っている工務店やハウスメーカーに依頼する
先ほどお伝えした通り、C値は図面の段階で知ることはできません。住宅の施工中、適したタイミングで行う必要があります。中でも断熱工事が終わった段階で行う中間気密測定は大きな意味を持ちます。気密性に問題があった場合、改善できる機会が得られるためです。ただし気密測定を標準仕様とする会社は多くありません。C値を意識するなら、気密測定を行っている工務店、ハウスメーカーに依頼することが大切です。
C値を公表している工務店に依頼する
住宅の気密性にこだわっている工務店は、自社施工におけるC値を公表しています。自社の施工に自信を持つ工務店なら、尋ねると必ず教えてくれるはずです。C値の重要性を理解する工務店に依頼するのも一案です。
ツーバイフォー工法やパネル工法で住宅を建てる
C値の低い家を建てたいなら、工法についても調べてみましょう。例えば優れた耐久性や高気密を実現する工法としてツーバイフォー(2×4)工法があります。面構造からなるツーバーフォー工法は気密対策が取りやすいのもメリットです。また在来工法とツーバーフォー工法のそれぞれの特徴を持つパネル工法を選ぶのもいいでしょう。壁や天井、床などの面をパネルで覆う工法ですから、こちらも高い気密性を期待できます。
まとめ
結露を防ぎ、冷暖房で快適な温度を維持し、住み心地のいい家づくりには高気密、高断熱性能が大きく影響します。気密性に関しては家の隙間の合計がわかるC値という数値が基準となります。値が低いほど高気密であり、C値1.0未満の気密性能であれば理想的だとされています。C値の将来的な劣化、お住まいの地域や工法によっても異なるため、気密性にこだわった工務店への依頼をおすすめします。
値の追加のご質問や詳細をご希望の方は、 こちらから気軽にお問合せ下さい