Column
Nov 01, 2023 | 住まいの知識
東京ゼロエミ住宅
「東京ゼロエミ住宅」とは?
「東京ゼロエミ※住宅」とは、都独自に定めた、高い断熱性能を持った断熱材や窓を用いたり、高い省エネ性能を有する家電製品などを取り入れた住宅です。
東京ゼロエミ住宅は、冷暖房の効率が良くなるなどによって、高い省エネ性に加えて、快適な室温が維持されます。
さらに、部屋間の温度差が小さくなり、ヒートショックの予防にもつながります。
※「ゼロエミ」とは「ゼロエミッション(ZERO EMISSION)」の略
東京ゼロエミ住宅の事業背景と狙い
東京都では、世界一の環境先進都市を目指して「2030年までに、東京の温室効果ガス排出量を2000年比で30%削減する」という目標を設定し、気候変動対策に取り組んでいます。都内の温室効果ガス排出量の約30%を占める家庭からの排出量を減らすためには、住宅の省エネ性能等を一層向上させる必要があります。
しかしながら、都内の住宅特性として、住宅建設費が高く、地価も高額であるため狭小な土地利用が多く、斜線制限に伴う屋根形状もあり、太陽光発電システムなどの再エネ設備による環境性能向上への取組が進みにくいことが挙げられます。
そこで、東京におけるこれからの住宅の目指すべき姿として、断熱性能と設備の省エネ性能を部位ごとの「仕様」により「見える化」した東京都独自の「東京ゼロエミ住宅」をとりまとめました。
東京ゼロエミ住宅が普及することによって、都内における住宅の環境性能のボトムアップを進めることで、高性能な建材や設備の価格が低下することが期待されます。これによって、より多くの都民の皆様が環境性能の良い住宅を選択することができるようになり、ますます東京ゼロエミ住宅が普及する好循環を生み出すことを目指します。
東京ゼロエミ住宅が目指す水準の考え方
東京の地域特性を踏まえ、東京ゼロエミ住宅として設定した基準は、再生可能エネルギー(太陽光発電システムによる削減量・コージェネレーション設備における売電量)を除いた住宅の省エネ性能について設定するとともに、ZEHの判断基準よりも高く設定しました。設定した東京ゼロエミ住宅の基準は、一次エネルギー消費量の削減率30%程度(建築物省エネ法の基準一次エネルギー消費量比)を達成できるものとしました。
また、再エネ設備が設置可能な住宅は、容量を問わず可能な限り設置することが望ましいとしました。
目指す水準 | 判断基準 | 建築物省エネ法 | |
外皮平均熱貫流率 | 0.7以下程度 | 0.6以下 | 誘導基準:0.87以下 建築物エネルギー消費性能基準:0.87以下 |
一次エネルギー消費量削減 | 30%程度以上 (ただし木造以外の集合住宅等の場合は25%程度以上) (再エネ除く) |
20%以上 (再エネ除く) |
誘導基準:10%以上(BEI0.9以下) 建築物エネルギー消費性能基準:0%以上(BEI1.0以下) |
太陽光発電システム | 設置が望ましい | 必須 | none |
東京ゼロエミ住宅のメリット
東京ゼロエミ住宅は、「断熱性の確保」と「設備の効率化」により省エネ性能等をより一層向上させた東京都独自の住宅です。
「断熱性の確保」により、部屋間の温度差や、部屋内の上方と足元の温度差が小さくなるため、ヒートショックの予防など、暮らしている人の快適性向上や健康の維持が期待できます。また、「設備の効率化」により、空調や給湯器等の効率が良くなり、光熱費の削減につながります。さらに、冬に壁や窓の表面温度が低くなりにくいため、結露が抑制されます。その結果、健康を害するダニやカビが繁殖しにくくなったり、木材の腐朽や建材の劣化を防ぐことができ、住宅が長持ちする効果もあります。
東京ゼロエミ住宅を取り巻く制度・事業について
都は、東京ゼロエミ住宅の品質確保のために認証制度を設けたほか、導入促進に向けて助成事業を立ち上げました。また、ロゴマークの作成や、住宅購入に関心の高い方が来場される住宅展示場等におけるキャンペーンの実施等を通じて、広く普及啓発を図ってまいります。